医学講義│医学の勉強法〜臨床医学・基礎医学

食道癌

【疫学】
高齢者の男性に多く、胸部中部食道に好発し、扁平上皮癌がほとんどです。
Barrett食道により腺癌も発生します)

 

【原因】
喫煙、アルコール、熱い食事、高塩分食、Barrett食道が原因です。
これらは食道粘膜に慢性的に機械的な刺激を加え、何度も刺激が加えられていくうちに正常細胞が癌化していくのです。
高濃度のアルコールや熱いものを飲んだりすると食道が痛くなることがありますよね。

Barrett食道は胃食道逆流症〈GERD〉でも説明しましたが、ほんらい扁平上皮である食道上皮が円柱上皮に変わってしまうものであり、食道癌でも特に腺癌を引き起こすリスクがあります。

 

【分類】
壁深達度分類
表在癌の定義とは「癌の浸潤が粘膜下層(sm)までで、リンパ節転移の有無を問わない」もの。
早期癌の定義とは「癌の浸潤が粘膜筋板までで、リンパ節転移の有無を問わない」もの。
つまり、早期癌とは「表在癌のうち、癌の浸潤が粘膜筋板までのもの」をいいます。

 

早期癌は「リンパ節転移の有無を問わないもの」や「リンパ節転移のないもの」など本によって色々書かれていますが、現在は「リンパ節転移の有無を問わないもの」に改訂されています。
進行癌の定義は表在癌より後の「癌の浸潤が固有筋層(mp)以降のもの」となっています。
表在癌…癌の浸潤が粘膜下層(sm)までで、リンパ節転移の有無を問わない。
(早期癌…表在癌のうち、癌の浸潤が粘膜筋板までのもの。)
進行癌…癌の浸潤が固有筋層(mp)以降のもの。

 

【症状】
表在癌
初期の食道癌では無症状のことが多く、胸骨の後ろに「しみる感じ」を訴える人もいます。

 

進行癌
腫瘍が大きくなり嚥下困難(物が飲み込みにくい)が生じる時には、多くは進行癌に至ってることが多いです。
(アカラシアは「冷たい液体」が飲み込みにくいのに対して、食道癌は「固い物」が飲み込みにくいことが特徴があります。)

 

食道は漿膜をもたないので、周囲の臓器に浸潤しやすく、特に気管反回神経を浸潤しやすいのです。
特に食道の前にひっついて下行する気管は浸潤されやすく、食道と気管の間に穴があく食道気管支瘻が合併しやすくなります。食道と気管がつながってしまっているので、物を食べたり飲み物を飲むとこの瘻孔を通じて食道から気管に入ってしまいます。それにより咳をしたり、むせたり、そのまま肺までいっていまうと嚥下性肺炎をきたします。

 

さらに食道と気管の間を上行する反回神経を浸潤します。反回神経は声帯を動かす神経で発生に関与しているので、反回神経麻痺により嗄声(させい)がおこります。嗄声とはしわがれ声とも言われ、かすれた声のことです。

 

【転移】
血行性転移
食道癌の血行性転移は肺転移が最も多いです。
食道を栄養した血管は下大静脈に注ぎ、右心房へと戻り、右心室を経て肺へと流れます。
食道にあった癌がこの血流にのり、肺へと到達すると肺の細かい網目に引っかかりそこで癌が生活してしまうからです。

一般的に消化管の癌の血行性転移は肝臓が多いです。
例えば胃癌や大腸癌の場合、胃や大腸を栄養した血管は門脈に注ぎます。
門脈は消化管の血液を集め肝臓へと注ぎます。
よって胃や大腸にあった癌が門脈を経由し肝臓へと流れ、実質臓器である肝臓に引っかかりそこで癌が生活してしまいます。

飛石転移〈skip lesion〉
食道癌に特徴的な転移として飛石転移(skip lesion)があります。
食道の粘膜下層(sm)にはリンパ管が豊富にあります。このリンパ管を通じて別の場所の粘膜下層へと転移しているものです。
つまり飛石転移(skip lesion)があるということは、リンパ節にも転移している可能性が高いので、予後が悪いことが多いのです。

 

【検査】
早期食道癌
早期食道癌は内視鏡でルゴール染色をし確認します。
グリコーゲンはヨード(ルゴール)と結合すると茶褐色に染まる性質があります。
食道の粘膜細胞はグリコーゲンを持つが、癌細胞はグリコーゲン量が少ないので食道の正常粘膜は茶褐色に、癌細胞は染まらず白色でみえます。
よく食道癌はルゴール染色で白く染まると勘違いしがちですが、染まっているのではなく染まっていないので白色に見えるということに気をつけてください。

 

進行食道癌
進行食道癌では食道造影で辺縁が不整な陰影欠損がみられます。
造影で食道の狭窄が6cm以上であれば縦隔に浸潤してる可能性があることを考えます。
(椎対1つが3cmである)

 

【治療】
早期食道癌の治療
早期食道癌には内視鏡的な治療を第一選択になります。
内視鏡的な治療として内視鏡的粘膜切除術(EMR)内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。

 

粘膜下層以下に浸潤してる場合の治療
粘膜下層以下に浸潤してる場合、手術療法として食道切除術を行います。
手術ができない場合には化学療法放射線療法を行います。

 

食道気管瘻に対して
食道ステントを留置し塞ぎます

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